総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




そのまま叶兎くんは隣に腰を下ろした。

ぽすっと頭に自分の頭を預けてきて。



「……ちょっと、貸して」



しばらくして、隣から規則正しい寝息が聞こえてくる。


……え、寝てる?


恐る恐る横を見ると、焦茶色の髪がさらりと頬にかかっていた。

赤い瞳は閉じられ、呼吸は穏やかで深い。



「……叶兎くん?」



返事はなくて。


相当疲れていたらしい。

会議に加えて移動時間、ほぼ丸一日動きっぱなしだったのだろう。


……こんな無防備な顔、久しぶりに見たかも。


いつもは鋭い目元も、薄く引き結ばれた唇も、今は全部ゆるんでいる。

私は起こさないようにそっと体を傾けて、叶兎くんの頭を自分の膝の上に乗せた。



「……お疲れさま。」



誰にも聞かれない小さな声で呟く。

窓の外では、夕陽が街を橙色に染め始めていた。