総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




──午後。玄関の鍵が開く音がした。

リビングのソファに座っていた私は、反射的に顔を上げた。


叶兎くんがネクタイを緩めながら入ってくる。

その顔には、隠しきれない疲労が滲んでいた。



「ただいま胡桃」

「おかえり……!」



思ったより大きな声が出て、自分でもびっくりする。

叶兎くんは目を丸くして、それから、ふっと優しく笑った。



「そんなに寂しかった?」



私は言い返そうとして、言葉に詰まってしまった。


寂しかった。不安だった。

そんな素直な言葉、口に出すのは恥ずかしい。


でも、叶兎くんはそれを全部わかっているみたいに、大股で近づいてくるとソファの背もたれに手をついた。

上から覗き込むように見つめられて。



「素直じゃないとこもかわいいけど」

「……っ、寂しかった前提で話さないで!」



叶兎くんはにっと口角を上げた。



「違った?」

「ち、違わない…けど。」