総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




な、なんでそんなに楽しそうなの……!

叶兎くんはくすっと笑うと、私の耳元に顔を寄せてきた。



「会ったのは今日が初めて。上からの紹介で名前は知ってたけど、それだけだよ」



囁くような声でそう言われて。

ほっぺたをむにっと摘まれた。



「む…」

「変な心配してる顔。かわいいけど…俺には胡桃しかいないから。」



………見透かされてたみたいで恥ずかしくて目を逸らす。

そんな私を見て叶兎くんは満足そうに目を細めた。

頬をつーっと指でなぞるみたいに触れられると、びくっと体が跳ねた。



「……ふ、ホントかわいい」

「っ、もう、からかわないで…!」

「からかってない。事実。」



両手で赤くなった耳を隠してぷいっと顔を背けたけど、叶兎くんの熱い視線は外してくれない。

冷めきった朝食のことは、もう完全に二人の頭から消え去っていた。



そのとき、廊下から足音が聞こえ、時雨くんと神代さんが戻ってきた。

部屋に入ってきた二人の目に映ったのは、真っ赤になって耳を隠す私と、それを見て楽しそうに笑う叶兎くん。



「……失礼しました。タイミングが悪かったようで。」



無表情な神代さんにそんなことを言われ、私は「あわわ」とパニックになってしまった。

穴があったら埋まりたい……っ。