総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「神代さんは特警の中でもかなり優秀な人だから、護衛としても信頼出来るよ」

「護衛って、どういうこと…?」

「能力暴走が多発してるし、ハンターも胡桃のこと嗅ぎ回ってる。念のためね。」



叶兎くんの言葉に、心臓が跳ねた。

……“ハンターも”という言葉。



「……なるほど。確かに今の状況なら備えておくに越したことはない」



時雨くんは納得したように頷いている。

神代さんは視線だけを叶兎くんに戻し、事務的なトーンで告げた。



「執務室の場所と警備体制の確認をさせていただきたいのですが、よろしいですか。」

「案内は時雨に任せるよ。俺は胡桃と朝飯の続き食べるから」

「……俺?」

「うん。よろしく。」

「……はぁ。わかったよ。」



時雨くんは冷めた紅茶を流し込みながら立ち上がった。



「了解しました。よろしくお願いします。」

「じゃあ行こうか。こっち。」



二人が部屋を出ていく。

隅で見守っていた桜が、冷めた皿を下げながらポソッと呟いた。

「新しい方、とてもかっこいいですね……」

叶兎くんは冷え切ったトーストを齧り、「……固」と眉を寄せている。

私だけが、ぽかんとしたまま扉を見つめていた。