「神代さんは特警の中でもかなり優秀な人だから、護衛としても信頼出来るよ」
「護衛って、どういうこと…?」
「能力暴走が多発してるし、ハンターも胡桃のこと嗅ぎ回ってる。念のためね。」
叶兎くんの言葉に、心臓が跳ねた。
……“ハンターも”という言葉。
「……なるほど。確かに今の状況なら備えておくに越したことはない」
時雨くんは納得したように頷いている。
神代さんは視線だけを叶兎くんに戻し、事務的なトーンで告げた。
「執務室の場所と警備体制の確認をさせていただきたいのですが、よろしいですか。」
「案内は時雨に任せるよ。俺は胡桃と朝飯の続き食べるから」
「……俺?」
「うん。よろしく。」
「……はぁ。わかったよ。」
時雨くんは冷めた紅茶を流し込みながら立ち上がった。
「了解しました。よろしくお願いします。」
「じゃあ行こうか。こっち。」
二人が部屋を出ていく。
隅で見守っていた桜が、冷めた皿を下げながらポソッと呟いた。
「新しい方、とてもかっこいいですね……」
叶兎くんは冷え切ったトーストを齧り、「……固」と眉を寄せている。
私だけが、ぽかんとしたまま扉を見つめていた。


