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──朝。
カーテン越しの柔らかな光が瞼を叩き、私は目を覚ました。
全身を包み込む、確かな温もり。
背中からすっぽりと抱き込まれている。
腰に回された腕は昨夜から一度も離れていないのだろう。
ぴたりと密着した背中越しに、叶兎くんの心音がとくとくと伝わってきた。
そして、意識がはっきりしてくるにつれ、昨夜の記憶が奔流のように押し寄せてくる。
心臓がどくんと大きく跳ね、私はたまらずぎゅっと目を閉じた。
……顔が、燃えるように熱い。
逃げるみたいに少しだけ身じろぐと、後ろから回されていた腕の力がほんの少しだけ強くなる。
「...おはよ」
「おは…よう、叶兎くん。」
寝起きの低くかすれた声が耳のすぐ後ろから聞こえた。
「…なんで逃げるの」
「に、逃げてない……」
「……へぇ」
全く信じていない、楽しそうな声色。
背後でくすくすという笑う気配がして、腕の中に閉じ込められたまま身動きが取れなくなる。
やがて、叶兎くんは私を自分の方へと向かせようと肩に手をかけた。
振り返れば、否応なしに目が合ってしまう。
昨夜のことがフラッシュバックして……もう、まともに顔なんて見られない…っ。


