総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




耳朶を唇で挟まれて、小さく歯を立てられる。

耳が弱いのを知っていてやっているのが、本当にずるい。



「……かな、とくん……っ」



覚悟はしていたはずなのに、いざとなると心臓が壊れそうで…でもそれ以上に、好きな人に触れられている幸せが勝っていた。

繋いだ手の温かさが、怖さを全部溶かしていく。


大丈夫。この人がくれるものなら、全部受け止めたい。



「あのね、叶兎くん」

「……ん?」



私は精一杯の力で、真っ直ぐに叶兎くんを見上げた。



「……わたしは、叶兎くんが好き。だから、隣にいたい。一緒に生きることを、ここにいることを、諦めたくない」



ずっと考えていたこと。

言葉にするのは怖かった。でも今、この瞬間に伝えたかった。



一瞬、叶兎くんの動きが止まった。


深い紅の瞳が、大きく揺れる。

驚きとも、別の何かともつかない表情が過ぎって。


それから、ふ、と笑った。泣き笑いみたいな、見たことのない表情で。



「……俺、こんなに贅沢なプレゼントもらっていいの?」



繋いでいた手をほどいて、両腕で包み込まれる。きつく、痛いくらいに。



「……離さないから。一生。」



ぎゅうと抱きしめられて──そのまま、二人の影が重なった。