耳朶を唇で挟まれて、小さく歯を立てられる。
耳が弱いのを知っていてやっているのが、本当にずるい。
「……かな、とくん……っ」
覚悟はしていたはずなのに、いざとなると心臓が壊れそうで…でもそれ以上に、好きな人に触れられている幸せが勝っていた。
繋いだ手の温かさが、怖さを全部溶かしていく。
大丈夫。この人がくれるものなら、全部受け止めたい。
「あのね、叶兎くん」
「……ん?」
私は精一杯の力で、真っ直ぐに叶兎くんを見上げた。
「……わたしは、叶兎くんが好き。だから、隣にいたい。一緒に生きることを、ここにいることを、諦めたくない」
ずっと考えていたこと。
言葉にするのは怖かった。でも今、この瞬間に伝えたかった。
一瞬、叶兎くんの動きが止まった。
深い紅の瞳が、大きく揺れる。
驚きとも、別の何かともつかない表情が過ぎって。
それから、ふ、と笑った。泣き笑いみたいな、見たことのない表情で。
「……俺、こんなに贅沢なプレゼントもらっていいの?」
繋いでいた手をほどいて、両腕で包み込まれる。きつく、痛いくらいに。
「……離さないから。一生。」
ぎゅうと抱きしめられて──そのまま、二人の影が重なった。


