【side胡桃】
その言葉に、張り詰めていたものが全部ほどけた気がした。
視界を塞ぐように、叶兎くんの唇がゆっくりと落ちてくる。
最初は額に。
それから瞼に、鼻先に。
なかなか唇には重ならなくて、焦れったさに耐えかねて叶兎くんを見上げると。
「……誕生日プレゼントなんでしょ。たっぷり貰わないと」
意地悪く囁く叶兎くんの瞳は、獲物を狙う吸血鬼そのものの色をしていた。
さっきあんなことがあったはずなのに、相手が叶兎くんなら…何故だか怖くない。
しばらくして、ようやく唇が重なる。
深く、熱い。
舌が絡み合う度に水音が静かな部屋に響いていく。
「ん、……っ…ふ………」
繋いだ手がきつく握られて、息継ぎの合間に漏れる吐息すら飲み込むように、また塞がれた。
…心臓が、うるさい。
繋がれた手から伝わってしまうんじゃないかと思うくらい、ばくばくと暴れている。
怖いんじゃない。ただ、嬉しくて。
求められていることが、ここにいていいと言われていることが。
空いた手で前髪をそっと払われて、露わになった額にもう一度、柔らかく口づけられる。
耳元で囁かれる低い声に、それだけで背筋がぞくぞくと震えた。


