総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





だから、さっきまで頭を占めていた肩の痣のことも、問いただすべきことも、全部一瞬で吹き飛んだ。



「……胡、桃」

「前に……約束したでしょ。…だから…私の全部、叶兎くんに貰って、欲しい」



真っ赤になりながら、消え入りそうな声で絞り出された勇気。

それがとにかく愛おしくて、狂おしくて。



ああ……だめだ。


理性のタガが外れ、音が立てて軋むのがわかった。

もう、自分を抑え込むことなんてできそうにない。



俺は首に回された胡桃の細い手首を片手で掴むと、そのまま抗えない力でシーツへと押しつけた。

覆いかぶさるようにして逃げ場を塞ぎ、閉じ込める。



「……余裕、ないから。もう、止まってあげられないけど....いい?」



胡桃はこくりと、小さく頷いた。



…今日は、今は何も聞かないで欲しい。

そう訴えるような瞳で見つめられる。



……俺の居ない間に、何かはあった。それは確かだ。

聞きたいことは山ほどある。………でも、それは今じゃない。



胡桃が言いたくないなら、今は何も聞かない。



押さえていた手首を離して、代わりに指を絡ませた。

シーツの上に組み敷いたまま、額を胡桃に合わせる。



「……じゃあ今は、俺のことだけ考えて」