だから、さっきまで頭を占めていた肩の痣のことも、問いただすべきことも、全部一瞬で吹き飛んだ。
「……胡、桃」
「前に……約束したでしょ。…だから…私の全部、叶兎くんに貰って、欲しい」
真っ赤になりながら、消え入りそうな声で絞り出された勇気。
それがとにかく愛おしくて、狂おしくて。
ああ……だめだ。
理性のタガが外れ、音が立てて軋むのがわかった。
もう、自分を抑え込むことなんてできそうにない。
俺は首に回された胡桃の細い手首を片手で掴むと、そのまま抗えない力でシーツへと押しつけた。
覆いかぶさるようにして逃げ場を塞ぎ、閉じ込める。
「……余裕、ないから。もう、止まってあげられないけど....いい?」
胡桃はこくりと、小さく頷いた。
…今日は、今は何も聞かないで欲しい。
そう訴えるような瞳で見つめられる。
……俺の居ない間に、何かはあった。それは確かだ。
聞きたいことは山ほどある。………でも、それは今じゃない。
胡桃が言いたくないなら、今は何も聞かない。
押さえていた手首を離して、代わりに指を絡ませた。
シーツの上に組み敷いたまま、額を胡桃に合わせる。
「……じゃあ今は、俺のことだけ考えて」


