総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





胡桃の柔らかな頭を顎の下に抱え込み、ゆっくりと目を閉じる。


俺の服に染みついた戦場の埃と、夜の冷気。

それとは対照的に……腕の中の胡桃からは、ほのかに夜の庭のような草の匂いがした。



「……かなと、くん……?」

「……ん。ただいま」



半分眠ったままの胡桃が、もぞもぞと擦り寄ってくる。



「ごめん、起こしちゃった?」

「……ううん……おかえり……」



眠たげに、けれど愛おしそうに紡がれたその一言で、肩に積もっていた疲労がすべて溶けていく気がした。

ぼんやりと開いた瞼の奥、まだ夢の境界線にいるような潤んだ瞳と視線がぶつかる。



「……叶兎くん」

「……ん?」

「……プレゼント、まだ、渡してなかったなって」

「……プレゼント?」



胡桃はゆっくりと俺の胸元から顔を離した。


至近距離で見つめられるその瞳は、いつもと違っていて。

潤んでいるのに、そこにあるのは怯えじゃなくて…何かを強く決意したような、それでいて込み上げる恥ずかしさを必死に堪えているような……。



「……もの、じゃなくて」



シャツを掴んでいた指がするりと滑って、俺の首の後ろに回る。

引き寄せるでもなく、ただ触れたいだけのように。


首筋に添えられた指先から、胡桃の微かな震えが伝わってきた。

その仕草が、その言葉が何を意味しているのか…わからないはずがなかった。