胡桃の柔らかな頭を顎の下に抱え込み、ゆっくりと目を閉じる。
俺の服に染みついた戦場の埃と、夜の冷気。
それとは対照的に……腕の中の胡桃からは、ほのかに夜の庭のような草の匂いがした。
「……かなと、くん……?」
「……ん。ただいま」
半分眠ったままの胡桃が、もぞもぞと擦り寄ってくる。
「ごめん、起こしちゃった?」
「……ううん……おかえり……」
眠たげに、けれど愛おしそうに紡がれたその一言で、肩に積もっていた疲労がすべて溶けていく気がした。
ぼんやりと開いた瞼の奥、まだ夢の境界線にいるような潤んだ瞳と視線がぶつかる。
「……叶兎くん」
「……ん?」
「……プレゼント、まだ、渡してなかったなって」
「……プレゼント?」
胡桃はゆっくりと俺の胸元から顔を離した。
至近距離で見つめられるその瞳は、いつもと違っていて。
潤んでいるのに、そこにあるのは怯えじゃなくて…何かを強く決意したような、それでいて込み上げる恥ずかしさを必死に堪えているような……。
「……もの、じゃなくて」
シャツを掴んでいた指がするりと滑って、俺の首の後ろに回る。
引き寄せるでもなく、ただ触れたいだけのように。
首筋に添えられた指先から、胡桃の微かな震えが伝わってきた。
その仕草が、その言葉が何を意味しているのか…わからないはずがなかった。


