……………これは何だ。
心臓の鼓動が、一気に険しくなる。
いつからあった。今日、出る前にはなかった。
頭の中で、先ほどの時雨の不自然な間が鮮明に蘇る。
……あいつが言いかけたのは、これのことか。
……落ち着け。今ここで問い詰めるにも、胡桃が起きるだけだ。
朝になったら聞く。絶対に。
乱れた襟を直してやり、布団を肩まで引き上げる。
そのままベッドの端に腰を下ろし、胡桃の寝顔をじっと見つめた。
…よく見れば、睫毛の先がわずかに湿り、目元が薄紅く腫れている。
……泣いてた……?本当に、何があったんだ。
「………遅くなってごめん」
囁くような声で言うと、返事は当然ない。
そのまま胡桃の横に体を横たえた。
腕を伸ばして、眠る胡桃を引き寄せて自分の胸元に収める。
その瞬間、胡桃が無意識に俺のシャツの裾を、きゅっと小さな手で掴んだ。
まるで、どこにも行かないでと縋るように。
「──っ」
息が詰まった。
わかっている。胡桃は眠っているし、これはただの寝ぼけた反応に過ぎない。
それでも、その無防備な仕草が、今の俺には痛いほど突き刺さった。


