総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





……………これは何だ。

心臓の鼓動が、一気に険しくなる。


いつからあった。今日、出る前にはなかった。



頭の中で、先ほどの時雨の不自然な間が鮮明に蘇る。

……あいつが言いかけたのは、これのことか。



……落ち着け。今ここで問い詰めるにも、胡桃が起きるだけだ。


朝になったら聞く。絶対に。



乱れた襟を直してやり、布団を肩まで引き上げる。


そのままベッドの端に腰を下ろし、胡桃の寝顔をじっと見つめた。

…よく見れば、睫毛の先がわずかに湿り、目元が薄紅く腫れている。



……泣いてた……?本当に、何があったんだ。



「………遅くなってごめん」



囁くような声で言うと、返事は当然ない。


そのまま胡桃の横に体を横たえた。

腕を伸ばして、眠る胡桃を引き寄せて自分の胸元に収める。


その瞬間、胡桃が無意識に俺のシャツの裾を、きゅっと小さな手で掴んだ。

まるで、どこにも行かないでと縋るように。



「──っ」



息が詰まった。


わかっている。胡桃は眠っているし、これはただの寝ぼけた反応に過ぎない。

それでも、その無防備な仕草が、今の俺には痛いほど突き刺さった。