スマホを取り出しても叶兎くんからの連絡はまだない。
既読すらついていない画面が、ひどく冷たく感じられた。
……もうすぐ日付が変わってしまう。叶兎くんの誕生日が、終わっちゃう。
重い体を動かしてベッドに倒れ込み、天井を見つめた。
琥珀に言われた言葉が、リフレインのように頭の中で繰り返されて。
“「…ハンターの保護下に来る気ない?暴走事件が落ち着くまでの間だけでもさ」”
琥珀の言葉は正しい。
頭ではわかってる。
人間のわたしが吸血鬼に囲まれて暮らすことのリスクなんて、とうに理解しているつもりだった。
……つもり、だった。
前に一度、叶兎くんに襲われかけたことはあるけど…契約のおかげであれ以来同じようなことは起きていなかったから、…正直、油断していたんだと思う。
…指先が震えている。それを、もう片方の手で握りしめた。
…本当は、ずっと怖かった。
叶兎くんの隣にいること。みんなに守ってもらうこと。…それに甘えて、自分は無力で何もできないこと。
無効化があっても、相手が能力を使っていなければ意味がない。
今日のことで、それがはっきりわかってしまった。

