総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「……僕はさ、去年くーちゃんに助けてもらったでしょ。だからわかるんだ。……くーちゃんはいつも人のことばっかりで、自分のことは後回しにする」


朔の瞳が、私の心の奥底を見透かすように揺れる。



「さっきも、みんなの前で笑ってたけど。……そういうとこ、昔から変わってないね」

「……朔には、見抜かれちゃうか」

「……見抜くっていうか。……僕も同じだったから」



朔は少しだけ目を伏せた。



「………ちゃんと周りを頼って。僕じゃなくてもいいから」



朔の言葉が、じわりと沁みた。


でも——それでも、今日のことは言えない。言ってしまったら、みんなが大事にしてしまう。

叶兎くんにも余計な心配をかけたくない。……だから。



「……ありがとう、朔。もう大丈夫だよ」

「……そっか」



朔はしばらく私をじっと見ていたけれど──やがて、ふっと力の抜けた笑みを浮かべた。



「うん。じゃあ、おやすみ。……無理しないでね」

「……おやすみなさい」



ドアが閉まり、廊下を歩く足音が遠ざかっていく。

部屋が静寂に包まれると、私は再びその場にへたり込んだ。