「……僕はさ、去年くーちゃんに助けてもらったでしょ。だからわかるんだ。……くーちゃんはいつも人のことばっかりで、自分のことは後回しにする」
朔の瞳が、私の心の奥底を見透かすように揺れる。
「さっきも、みんなの前で笑ってたけど。……そういうとこ、昔から変わってないね」
「……朔には、見抜かれちゃうか」
「……見抜くっていうか。……僕も同じだったから」
朔は少しだけ目を伏せた。
「………ちゃんと周りを頼って。僕じゃなくてもいいから」
朔の言葉が、じわりと沁みた。
でも——それでも、今日のことは言えない。言ってしまったら、みんなが大事にしてしまう。
叶兎くんにも余計な心配をかけたくない。……だから。
「……ありがとう、朔。もう大丈夫だよ」
「……そっか」
朔はしばらく私をじっと見ていたけれど──やがて、ふっと力の抜けた笑みを浮かべた。
「うん。じゃあ、おやすみ。……無理しないでね」
「……おやすみなさい」
ドアが閉まり、廊下を歩く足音が遠ざかっていく。
部屋が静寂に包まれると、私は再びその場にへたり込んだ。

