総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「……っ、な、何でもない! 大丈夫……!」

「くーちゃん、顔真っ青だよ。」



いつの間にか近くに来ていた朔が、心配そうに私の額に手を当てた。



「……熱はないみたいだけど。……ねぇ、何かあった? 」

「う、ううん!ほんとに何もないの。でも、ちょっと疲れてるのかも。私部屋で休んでくるね。……みんなはまだゆっくりしてて。片付けは明日でいいから」



笑顔を作って言葉を並べると、私は逃げるようにリビングを後にした。

廊下を早足で抜け、自室のドアを閉めると、そのまま扉に背中を預けてずるずると座り込む。


……怖かった。

今になって、どっと押し寄せてくる。もしあの時、琥珀が来なかったら…。



その時、コンコン、と控えめなノック音がした。



「……くーちゃん。」

「……朔?」



慌てて表情を作ってドアを開けた。



「……ごめんね、急に」



ドアの前に立つ朔は、少し困ったような、心配そうな顔をしていた。

朔が一歩近づいてきた。部屋の中には入らず、ドア枠に寄りかかるようにして。



「……僕が言えたことじゃないけど。……くーちゃんの周りには、頼れる人がたくさんいるんだから。もっと、素直になっていいと思うよ。もっと、わがまま言ってもいいんだよ」

「朔……」


朔の言葉に、胸の奥がぎゅっと痛くなった。