「……っ、な、何でもない! 大丈夫……!」
「くーちゃん、顔真っ青だよ。」
いつの間にか近くに来ていた朔が、心配そうに私の額に手を当てた。
「……熱はないみたいだけど。……ねぇ、何かあった? 」
「う、ううん!ほんとに何もないの。でも、ちょっと疲れてるのかも。私部屋で休んでくるね。……みんなはまだゆっくりしてて。片付けは明日でいいから」
笑顔を作って言葉を並べると、私は逃げるようにリビングを後にした。
廊下を早足で抜け、自室のドアを閉めると、そのまま扉に背中を預けてずるずると座り込む。
……怖かった。
今になって、どっと押し寄せてくる。もしあの時、琥珀が来なかったら…。
その時、コンコン、と控えめなノック音がした。
「……くーちゃん。」
「……朔?」
慌てて表情を作ってドアを開けた。
「……ごめんね、急に」
ドアの前に立つ朔は、少し困ったような、心配そうな顔をしていた。
朔が一歩近づいてきた。部屋の中には入らず、ドア枠に寄りかかるようにして。
「……僕が言えたことじゃないけど。……くーちゃんの周りには、頼れる人がたくさんいるんだから。もっと、素直になっていいと思うよ。もっと、わがまま言ってもいいんだよ」
「朔……」
朔の言葉に、胸の奥がぎゅっと痛くなった。

