「……ねぇ、胡桃ちゃん」
瞳がまっすぐに私を映す。
「……寂しくない?…今日だけじゃなくて、最近」
「……寂しい、けど…でも、叶兎くんのほうが忙しいと思うし。私は大丈夫だよ」
叶兎くんの隣にいることを決めてから一緒に仕事に関われることが増えたけど、それでも叶兎くんにしか対応できない案件が多くあるのは事実で。
「……そういうとこだよね、君って」
天音くんはふっと吐息をこぼして立ち上がると、そのまま流れるような動作で私の隣に座った。とん、と肩が触れ合う。
「前も同じこと言ってた。……大丈夫って言う子ほど大丈夫じゃないの、俺知ってるよ」
……天音くんの声はいつもより少し低くて、ふざけてる感じがしなかった。
「……ほら、手。めちゃくちゃ冷たいじゃん。どんだけ外いたの」
ひょいと指先に自分の手を重ねてきた。手が冷たいのは、きっと、外にいたからだけじゃない。
……だめだ、思い出しちゃう。
庭でのことがフラッシュバックする。木の幹の感触、剥き出しの牙、肩に食い込んだ指──。
「……っ」
「胡桃ちゃん?」
天音くんの声色が変わった。重ねていた手にわずかに力を込める。

