「……嫌そうな顔してるね。背中でもわかるよ。」
琥珀の言葉には、嘘偽りのない「人間としての正論」が宿っているのかもしれない。
私の身を案じてくれているのも、本当だろう。
でも、私は──。
「……私、自分の足で立てるから降ろしてほしい」
「……はいはい」
琥珀は素直に足を止めると、ゆっくりと腰を落としてくれた。
地面に足をつくとまだ膝は震えていたけど、自分の意思で立つことができた。
「……で?」
琥珀が振り返り、まっすぐ私の瞳を射抜く。
「さっきの質問、答え聞いてないんだけど。……本部じゃなくて、ハンターの保護下に来る気ない?暴走事件が落ち着くまでの間だけでもさ」
琥珀はきっと優しい。純粋に、真っ直ぐ。
でも…私は、叶兎くんの隣で、ここで生きると決めた。今更迷うつもりなんてない
「……保護してもらう気は、ないよ。でも……助けてくれて、本当にありがとう、琥珀」
「……ふーん」
数秒の間、琥珀はじっと私の目を見つめていた。
…何かを探るように、あるいは諦めるように。
「……その視線も変わんないね。前と同じ」
琥珀は、ふぅ、と小さくため息を吐いた。

