「捕まってて。部屋まで送ってあげるから」
「えっ……!? ちょ、ちょっと待って……!」
驚く間もなく琥珀はひょいと私の体を持ち上げ、軽々と背中に乗せた。
視界が高くなり、彼の広い背中の温もりが伝わってくる。
「ま、待って、自分で歩くから!ちょっとだけ、落ち着かせてほしい……」
「足ガクガクの人に降りられても困るんだけど。これはただの救助ですー」
あっさり却下され、琥珀はそのまま迷いのない足取りで歩き出す。
……助けてもらった手前強くは言えないけど……男の子におんぶしてもらうなんて、それもこんな密着した状態で……!
「……あとさ、あんまり暴れると落ちるよ? 胡桃軽いけど、バランス崩したら俺のせいじゃないからね」
う、……何も言い返せない。
観念して、琥珀のシャツの肩をぎゅっと掴んだ。
それにしても、今の琥珀は一体……。
さっきの銃捌きといい、吸血鬼を連れ去った男たちといい、私の知っている「大学生の琥珀」とはあまりにかけ離れている。
「……聞きたいことあるなら、今のうちにどうぞ」
図星を突かれた。
まるで私の心を見透かしているようなタイミングに心臓が跳ねる。
「琥珀って……何者なの?」
「……ただの医大生」
一拍、わざとらしい沈黙のあと。
「……って言いたいとこだけど。さっきの見てそれ信じる人いないか。」
琥珀は自嘲気味に鼻で笑った。

