総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「……っ……た、助けてくれて、ありがとう、」



恐怖と安心が混ざり合って、視界がじわりと滲む。

涙を見られるのが恥ずかしくて、私は逃げるように俯いた。



「……泣くなら泣いていいけど」



琥珀は自分の上着を脱ぐと、震える私の肩にそっと掛けた。

体温の残る布地からは、清潔な洗剤の香りに混じって、わずかに火薬の匂いがした。



「……たださ」



不意に、琥珀の声のトーンが一段低くなる。



「これで分かったでしょ?俺が言ったことの意味。」

「……っ」



昼間に言われた言葉が、鋭い刃物のように胸に突き刺さる。



「……ま、説教は俺の仕事じゃないけど」



琥珀はポリポリと首の後ろを掻くと、くるりと背中を向けた。



「……立てる?」

「……ごめん。まだ、ちょっと……」



情けなくて消え入りそうな声で答えると、琥珀は「しょうがないなぁ」とわざとらしく大きなため息をついた。