「……っ……た、助けてくれて、ありがとう、」
恐怖と安心が混ざり合って、視界がじわりと滲む。
涙を見られるのが恥ずかしくて、私は逃げるように俯いた。
「……泣くなら泣いていいけど」
琥珀は自分の上着を脱ぐと、震える私の肩にそっと掛けた。
体温の残る布地からは、清潔な洗剤の香りに混じって、わずかに火薬の匂いがした。
「……たださ」
不意に、琥珀の声のトーンが一段低くなる。
「これで分かったでしょ?俺が言ったことの意味。」
「……っ」
昼間に言われた言葉が、鋭い刃物のように胸に突き刺さる。
「……ま、説教は俺の仕事じゃないけど」
琥珀はポリポリと首の後ろを掻くと、くるりと背中を向けた。
「……立てる?」
「……ごめん。まだ、ちょっと……」
情けなくて消え入りそうな声で答えると、琥珀は「しょうがないなぁ」とわざとらしく大きなため息をついた。

