総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「…誰、こんな時に」



不機嫌そうにスマホを取り出すと、画面を見た瞬間、叶兎くんの表情から余裕が消える。



「仕事の電話だ………ちょっと待ってて」



叶兎くんは席を立ち、バルコニーの方へ向かった。

しばらくして戻ってきた彼の眉間には、深い皺が刻まれていた。



「…ごめん。ちょっと出てくる」


「「え!?」」



そう言われて、みんなの声が重なる。



「事件。…場所が近いから直接来て欲しいって」



苦々しげに吐き捨てて、コートを羽織る。それから私の前にしゃがみ込んだ。



「…すぐ戻るから、待ってて」

「…私も行く?」



能力鎮圧なら、私がいた方がいいだろう。



「…だめ」


でも、即答だった。有無を言わさぬ目で見つめられる。



「能力暴走の鎮圧は確かに胡桃がいた方が早いけど…今日はだめ。みんなと一緒にいて」

「でも…」

「昨日、能力使って倒れたでしょ。やっぱり使いすぎはだめ。俺が心配なの」

「…叶兎の言う通りだと思う。最近、能力使いすぎだよ」



時雨くんにもそう言われてしまっては、私は頷くしかなかった。



「…そういう事。だからいい子で待ってて。ね?」



最後にぽん、と私の頭を撫でて、叶兎くんは嵐のように屋敷を飛び出して行った。