総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




ふと、隣に座っていた叶兎くんが、私の手元をちょいちょいと手招きした。



「…ね、胡桃」



もっと近くに来い、ということらしい。



「え〜なに、二人だけの空間作んないでよ」

「いつものことでしょ。諦めな」



文句を言う天音くんを時雨くんがいなし、私は叶兎くんの方へ耳を寄せた。



「どうしたの?」

「………たまにはいいね、こういうのも。」



耳元で囁かれたその声は、驚くほど穏やかだった。



「叶兎くん、嬉しそうだね」

「……まあね」



素直だった。みんなの前だし、普段なら「別に」とか「普通だけど」とか言いそうなものなのに。



「うわ、叶兎がデレてる」


天音くんにそう言われると、叶兎くんが即座に鋭い視線で睨みつける。


「わ〜怖い怖い」


そんなやり取りすらも、まるで学園時代に戻ったみたいで心地よかった。



「あはは、でもほんと久しぶりだよね。みんな揃うの。」



春流くんがしみじみと呟くと、それからはそれぞれの近況報告が始まった。