そんな私の横では、相変わらず天音くんと九条くんが「盛り付けのセンスがない」だの「うるさい」だのと言い合っている。
「秋斗って相変わらず料理うまいのギャップだよね」
「それ褒めてる?」
もはや見慣れた光景だけど、なんだか前よりずっと仲が深まっている気がして自然と頬が緩んだ。
「……そろそろ、叶兎も起きてくる頃だろう。」
桐葉くんの声に、みんながパッと顔を見合わせた。
「胡桃は一度部屋に戻って。で、叶兎が目を覚ましたらうまくリビングまで誘導して。」
時雨くんが作戦を指示する。
どうやら、寝起きの彼をリビングに連れ出して盛大なクラッカーで迎える算段らしい。
言われるがまま自室に戻ると、ベッドの上の叶兎くんはまだ眠っていた。
寝顔は起きている時の威圧感が消えて、年相応の──いや、少し幼くすら見える。
………フライングしても、いいかな?
ふと、そんなイタズラ心が芽生えた。
だって、私は彼の恋人で、一番近くにいる特別な存在なんだもん。
「おめでとう」の言葉は、誰よりも先に、私が伝えたい。
……彼女の特権ってやつ。
私は足音を忍ばせてベッドサイドへ近づき、耳元で小さく囁いた。
「…叶兎くん」

