「他のみんなもリビングにいるよ」
春流くんに促されてリビングの扉を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。
大きなテーブルには色とりどりの料理が並び始めていて、キッチンでは九条くんが驚くほど手際よく盛り付けをしている。
「叶兎、起きたら固まりそうだね。この光景見て。」
春流くんがクスクスと笑いながら、サラダのボウルを運んでいて。
「だろうね。事前に知らせてないし。」
天音くんも楽しそうに飾り付けの準備を進めていく。
「サプライズだからな。当然だろう。」
隣にいた桐葉くんまで、真面目な顔で頷いた。
わいわいと賑やかに準備が進む中、時計はもうすぐ午前十時を指そうとしていた。
みんな、叶兎くんが起きてくる前に完璧な状態に仕上げたいらしく、誰も彼を起こしに行く気配がない。
そして、部屋の隅には意外な人物の姿もあった。
「久しぶりだな」
「あ、蓮水さん!」
蓮水さんと会うのは、後継者お披露目式以来だ。
「元気そうでよかった」
「…天音に呼ばれたから来たけど、僕もここにいていいのかな」
そして、その隣には朔も。
天音くんが、この二人まで呼んでくれたんだ…。
一年前の激動の日々を思えばこうしてみんなが同じ屋根の下に集まっていることが奇跡みたいに思えてなんだか胸が熱くなる。
「叶兎くんも、みんなに祝ってもらえて嬉しいと思う。私も嬉しい」
「くーちゃん…」

