総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「……え」

「あと、本当に、胡桃は自覚が足りないし警戒心がなさすぎる! 俺以外の吸血鬼にも、人間にも…!」



照れ隠しのように声量が上がった。けれど壁ドンの体勢は崩さない叶兎くん。



「今日だって、俺が迎えに行かなきゃあのまま医務室で二人きりだったでしょ」



ぐうの音も出なかった。確かにあのまま琥珀と二人でいたらどうなっていたか。



「…その顔。何も考えてなかった顔」



う、と小さく唸る。完全に図星だった。



「…………はぁ」


と、深いため息をつかれた後。



「……だから、もう……俺以外の男に、隙見せないで。」



額がこつん、と私の肩に預けられた。

さっきまでの威圧感が嘘みたいに、ただ静かに。



私はそっと、叶兎くんの乱れた髪に手を置いた。


「…ごめんね。」


叶兎くんが、私のことで、そんなに不安になってたなんて、全然知らなかった…。

ぴくり、と肩が動いた。振り払われるかと思ったけど——そのまま、むしろ掌に押し付けるように頭を傾ける。