頬がじわりと熱くなるのを感じて、思わず視線が泳いだ。
その反応だけで十分だったらしい。琥珀は私の全てを見抜いていた。
「……ふうん。」
琥珀が小さく笑った。「嫌じゃないんだ」と、声には出さず唇だけで呟くように。
「でもさ、吸血鬼には力じゃ敵わないでしょ?もし相手が吸血衝動が抑えられなくなったら、どうするの?」
それは核心を突く問いだった。
……一応、叶兎くんとは契約のおかげで暴走はしないはず、だけど。
「相手を殺してでも止める覚悟はある?」
「……え、…?」
片方の手が、私の手首にそっと添えられた。……まるで、私を吸血鬼の世界から引き戻そうとするみたいに。
どうしてか、琥珀のことを振り払うことができなくて。
何か言わなきゃと口を開きかけたその時——医務室のドアが勢いよく開いた。
「胡桃…!」
走ってきたのか、息が僅かに上がっていた。
叶兎くんの視線は真っ先に私を捉え——それから、私の手首に添えられた琥珀の手に移った。
……。
空気が凍った、どころじゃない。絶対零度。
医務室中の酸素が消え失せたかのような、凄まじい圧迫感。
…朔と会った時もそうだけど、こういう時の叶兎くんって、ほんとに威圧感がすごい。

