総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「──。」


琥珀の目がある一点で止まった。

──首筋に残る赤い噛み跡。くっきりと、誰のものか一目で分かるような。


「…」


空気の温度が、一瞬にして凍りついた気がした。



「これ、誰にやられたの?」



問い詰めるような声ではなかった。むしろ柔らかいくらいの。

けれどその目は全く笑っていなかった。



「え、あ……これは……」

「随分はっきり残ってるけど。」



琥珀の親指が、そっと痕のすぐ横に触れた。



「傷つけて、痕残したままとか…随分乱暴なんだね。彼。」



声に棘はない。ないのに、空気がぴりっと張り詰めていた。



「胡桃は嫌じゃないの、こういうの。」



嫌じゃない。…それは叶兎くん限定で。

なんてこと、恥ずかしくて言えるわけがない。