⚠︎『総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ』の続編となりますので、
前作を読んでいる前提の物語になります。
【side胡桃】
今日は一段と、学園全体が騒がしい。
朝から廊下を行き交う足音が絶えなくて、笑い声や別れの挨拶が壁越しにもはっきり聞こえてくる。
私はダンボールを抱えたまま部屋の真ん中で立ち止まり、ゆっくりと辺りを見渡した。
……うん。
忘れ物は、なさそうかな。
生徒会特別寮。
──1年間過ごした、自分の部屋。
たった一年だけど愛着が湧いちゃって、
ちょっと名残惜しい気持ちになりながらも、部屋を出てドアを閉める。
ロビーに出れば、見慣れた景色。
テーブルに一度ダンボールをおいて、あたりを見渡す。
「どうしたんだ?部屋の前で立ち止まって」
あたりを眺めて思い出に浸っていると、声をかけられてハッと意識が戻った。
私と同じように荷物を抱えた桐葉くんと、その後ろから春流くんもやってくる。
「私がここにいたのは1年だけど…色々あったなあって思って。」
ここでみんなと過ごすのが日常だったから、
終わってしまうのは不思議な感覚だった。
「そうだねぇ。卒業って、何かまだ実感湧かないよね」
春流くんもロビーを眺めながら呟いた。
「うん。…みんなと会えなくなるし、ちょっと寂しいかも」

