「白羽涼、アイドルグループに加入しないか?」
憧れの社長からの提案に私は即オーケーを出した。
私は普通の女子中学生。
ボーイッシュだと良く言われる。
背は160センチ程度のやせ形で胸はまな板。
元々髪の毛も短めだし、涼という名前で男と間違われてしまうことは今まで何度もあった。
でも、女子力上げたいなと思うんだ。
だって、憧れの社長に女性として好きになってもらいたいという夢があるから。
社長はかっこいい。現在二十三歳で大手芸能事務所を親から引き継いで仕事をしている。
社長自身、元々はアイドルをやっていたけど、本人は裏方希望で大学卒業した時に引退して社長となった。
大手芸能事務所といっても、社長が担当しているのは新人アイドル。
これから売り出す素人を集めて売り出すのが仕事。
「実は、もうデビュー済みのグループなんだけど、話題性が欲しいっていう要望があってね。涼に是非入ってほしい。このグループにはかわいい系の枠が空いていて、君しかいないって思ったんだ。だから、あの日あの時声をかけた」
あの日、たまたま買い物をしに街中を歩いていた時に、名刺をもらい、親と一緒に話を聞きに行った。
親は大手事務所だし、安心だとすぐにサインをした。
社長は私の推しだった人だった。
仕事のできる憧れの人に、ここまで言われたら入るしかない。
「デビュー済みっていうと?」
途中加入っていじめとかありそうって少し心配になった。
「涼が入るのは、愛ドールだよ」
愛ドールと言えば、かなり売れている男性アイドルグループだ。
今人気急上昇の同世代の中学生のイケメン四人組。
同じ事務所とはいえ、最近入ったばかりの私に接点があるはずもない。
「私、女性アイドルとしてデビューを希望してるんですけど。男性アイドルグループに女性が加入すると問題ありますよね?」
「全然問題ないよ。メンバーにも秘密にして、男性として加入してもらうから」
あっけらかんとした表情で社長は楽しそうに微笑んだ。
「バレたらどうするんですか?」
「多様性の時代なんだから、なんとかなるって」
相変わらず適当なことを言う。
「ファンに殺されちゃうかも」
女性ファンの熱狂的な恐ろしさを知っている。
私は社長がアイドル時代に推し活をかなりしていた。
だから、推しは命であることを理解している。
好きな推しのそばに女がいるなんて許されないと思う。
「男性アイドルグループに女性が加入しちゃいけないなんて法律はない。それに、俺は絶対に涼なら売れると思うんだよ。名前が売れればソロで活動してもいいし、女性だとカミングアウトするのも話題性として、おいしい話だと思うけど。これは俺の一大プロジェクト。絶対成功させるから」
いつも突拍子もないことをいう社長だけど、企画力があり、見る目がある人だ。
最初に街中で私をスカウトしてくれた人で、時々食事にみんなで行くこともある。
この世界の入り口に招待してくれた人としても社長には感謝している。
これは、推しである社長のために頑張らなくちゃ。
小学校六年生の時、友達関係でうまくいかなかった時に推しである社長に出会った。
まだ社長ではなく、アイドルの真ん中で踊って歌っている彼の容姿と声に惹きつけられた。
一目惚れだった。
社長の名前は銀野蘭真
愛ドールは少し不良なイケメンというのがコンセプト。
少し不真面目だけど、一途に女子を想う男子という設定らしい。
社長が全てプロデュースしている。
赤瀬紅羽。イメージカラーは赤。ヤンチャなちょっと不良系担当。
蒼木流聖。イメージカラーは青。クール担当。
緑沢葉樹イメージカラーは緑。癒し担当。
金城黄河。イメージカラーは黄。インテリ担当。
私、白羽涼はイメージカラーが白らしい。かわいい担当。
イメージカラーと担当が決まっていて、それを彼らは演じているらしい。
元々の素をうまく社長が担当として取り入れているのが本当らしいけど。
たしかに、女ではあるから、かわいい担当というのはわかるけど、男装キャラとして売り出すわけだし、身内にも男として紹介するって言われると、困ることも多々出てくるだろう。
「着替えとか男子と同室だと困ります」
「大丈夫。売れてる愛ドールは個室になってるから」
「社長、面白がってませんか?」
「涼の成長は面白いよ。絶対に売れる。君には華があるから。俺の勘がそう言っている」
目の前の推しである社長のきれいな顔に胸が高鳴る。
好きな人のそばにいたいから、この事務所に入った。
正直アイドルになるのは二の次で、この関係を切りたくない一心で事務所に入ってしまった。
芸能人になりたいわけではないけど、この人のために頑張りたい。
「何色にも染まっていないから、白色は涼らしいよね」
社長は笑いながら言う。
「それって、花嫁理論じゃないですか」
花嫁はあなた色に染まるというから白いウエディングドレスを着るらしい。
私だっていつか社長をドキリとさせるような美しい女性になるんだから。
でも、今から男として売り出すってことはドレスとは程遠い存在になるのかもしれない。
「涼は俺の花嫁みたいなものだから。すごく大切なアイドルとして売り出したいと思ってる」
真面目な顔でそんなこと言われたら、期待してしまう。
社長はものすごくモテるのに特定の彼女を作らないし、女癖が悪いとは聞いたこともない。
こんな人と結婚したいなぁと思う。
成功したら告白しよう。
勝手に決意する。
「さっそくみんなに紹介するから」
「今ですか? 心の準備が」
ドキドキマックス。
練習室に連れて行ってもらうと、そこではダンスの練習をしている愛ドルがいた。
生で見ると、普通の男子と全然違う。
イケメン過ぎて、びっくりした。
顔が小さい、ビジュがとにかくいい。
顔立ちとスタイルの良さと声と髪形と。全てがいい。
「こちら白羽涼くん。みんなの仲間になるかわいい系男子。イメージは白。よろしくね」
男子って嘘ついてるけど、もしバレたらまずいよね。
バレないって思われてる。たしかに胸もないし、女性的じゃないけど。
「おまえ、本気なのか? 半端な気持ちじゃ困るんだよ」
赤瀬紅羽が顔を近づけて睨む。
「まぁまぁ、彼だって緊張してるんだろうし、睨むなって」
葉樹がなだめる。
「別に、自分は自分だ」
流聖は他人に興味なしっていうところ。
「かわいい系が必要かどうかは疑問ですね」
黄河がじっと見つめる。
みんなそれぞれに魅力があって、ただの一般人には敷居が高いのに、すぐそばにいるという違和感。
私は一体バレずに彼らと過ごせるのか??
アイドルを好きになることなんてまさか、ないよね?
憧れの社長からの提案に私は即オーケーを出した。
私は普通の女子中学生。
ボーイッシュだと良く言われる。
背は160センチ程度のやせ形で胸はまな板。
元々髪の毛も短めだし、涼という名前で男と間違われてしまうことは今まで何度もあった。
でも、女子力上げたいなと思うんだ。
だって、憧れの社長に女性として好きになってもらいたいという夢があるから。
社長はかっこいい。現在二十三歳で大手芸能事務所を親から引き継いで仕事をしている。
社長自身、元々はアイドルをやっていたけど、本人は裏方希望で大学卒業した時に引退して社長となった。
大手芸能事務所といっても、社長が担当しているのは新人アイドル。
これから売り出す素人を集めて売り出すのが仕事。
「実は、もうデビュー済みのグループなんだけど、話題性が欲しいっていう要望があってね。涼に是非入ってほしい。このグループにはかわいい系の枠が空いていて、君しかいないって思ったんだ。だから、あの日あの時声をかけた」
あの日、たまたま買い物をしに街中を歩いていた時に、名刺をもらい、親と一緒に話を聞きに行った。
親は大手事務所だし、安心だとすぐにサインをした。
社長は私の推しだった人だった。
仕事のできる憧れの人に、ここまで言われたら入るしかない。
「デビュー済みっていうと?」
途中加入っていじめとかありそうって少し心配になった。
「涼が入るのは、愛ドールだよ」
愛ドールと言えば、かなり売れている男性アイドルグループだ。
今人気急上昇の同世代の中学生のイケメン四人組。
同じ事務所とはいえ、最近入ったばかりの私に接点があるはずもない。
「私、女性アイドルとしてデビューを希望してるんですけど。男性アイドルグループに女性が加入すると問題ありますよね?」
「全然問題ないよ。メンバーにも秘密にして、男性として加入してもらうから」
あっけらかんとした表情で社長は楽しそうに微笑んだ。
「バレたらどうするんですか?」
「多様性の時代なんだから、なんとかなるって」
相変わらず適当なことを言う。
「ファンに殺されちゃうかも」
女性ファンの熱狂的な恐ろしさを知っている。
私は社長がアイドル時代に推し活をかなりしていた。
だから、推しは命であることを理解している。
好きな推しのそばに女がいるなんて許されないと思う。
「男性アイドルグループに女性が加入しちゃいけないなんて法律はない。それに、俺は絶対に涼なら売れると思うんだよ。名前が売れればソロで活動してもいいし、女性だとカミングアウトするのも話題性として、おいしい話だと思うけど。これは俺の一大プロジェクト。絶対成功させるから」
いつも突拍子もないことをいう社長だけど、企画力があり、見る目がある人だ。
最初に街中で私をスカウトしてくれた人で、時々食事にみんなで行くこともある。
この世界の入り口に招待してくれた人としても社長には感謝している。
これは、推しである社長のために頑張らなくちゃ。
小学校六年生の時、友達関係でうまくいかなかった時に推しである社長に出会った。
まだ社長ではなく、アイドルの真ん中で踊って歌っている彼の容姿と声に惹きつけられた。
一目惚れだった。
社長の名前は銀野蘭真
愛ドールは少し不良なイケメンというのがコンセプト。
少し不真面目だけど、一途に女子を想う男子という設定らしい。
社長が全てプロデュースしている。
赤瀬紅羽。イメージカラーは赤。ヤンチャなちょっと不良系担当。
蒼木流聖。イメージカラーは青。クール担当。
緑沢葉樹イメージカラーは緑。癒し担当。
金城黄河。イメージカラーは黄。インテリ担当。
私、白羽涼はイメージカラーが白らしい。かわいい担当。
イメージカラーと担当が決まっていて、それを彼らは演じているらしい。
元々の素をうまく社長が担当として取り入れているのが本当らしいけど。
たしかに、女ではあるから、かわいい担当というのはわかるけど、男装キャラとして売り出すわけだし、身内にも男として紹介するって言われると、困ることも多々出てくるだろう。
「着替えとか男子と同室だと困ります」
「大丈夫。売れてる愛ドールは個室になってるから」
「社長、面白がってませんか?」
「涼の成長は面白いよ。絶対に売れる。君には華があるから。俺の勘がそう言っている」
目の前の推しである社長のきれいな顔に胸が高鳴る。
好きな人のそばにいたいから、この事務所に入った。
正直アイドルになるのは二の次で、この関係を切りたくない一心で事務所に入ってしまった。
芸能人になりたいわけではないけど、この人のために頑張りたい。
「何色にも染まっていないから、白色は涼らしいよね」
社長は笑いながら言う。
「それって、花嫁理論じゃないですか」
花嫁はあなた色に染まるというから白いウエディングドレスを着るらしい。
私だっていつか社長をドキリとさせるような美しい女性になるんだから。
でも、今から男として売り出すってことはドレスとは程遠い存在になるのかもしれない。
「涼は俺の花嫁みたいなものだから。すごく大切なアイドルとして売り出したいと思ってる」
真面目な顔でそんなこと言われたら、期待してしまう。
社長はものすごくモテるのに特定の彼女を作らないし、女癖が悪いとは聞いたこともない。
こんな人と結婚したいなぁと思う。
成功したら告白しよう。
勝手に決意する。
「さっそくみんなに紹介するから」
「今ですか? 心の準備が」
ドキドキマックス。
練習室に連れて行ってもらうと、そこではダンスの練習をしている愛ドルがいた。
生で見ると、普通の男子と全然違う。
イケメン過ぎて、びっくりした。
顔が小さい、ビジュがとにかくいい。
顔立ちとスタイルの良さと声と髪形と。全てがいい。
「こちら白羽涼くん。みんなの仲間になるかわいい系男子。イメージは白。よろしくね」
男子って嘘ついてるけど、もしバレたらまずいよね。
バレないって思われてる。たしかに胸もないし、女性的じゃないけど。
「おまえ、本気なのか? 半端な気持ちじゃ困るんだよ」
赤瀬紅羽が顔を近づけて睨む。
「まぁまぁ、彼だって緊張してるんだろうし、睨むなって」
葉樹がなだめる。
「別に、自分は自分だ」
流聖は他人に興味なしっていうところ。
「かわいい系が必要かどうかは疑問ですね」
黄河がじっと見つめる。
みんなそれぞれに魅力があって、ただの一般人には敷居が高いのに、すぐそばにいるという違和感。
私は一体バレずに彼らと過ごせるのか??
アイドルを好きになることなんてまさか、ないよね?



