とある男子高校生の日常

放課後、帰り道が重なる


「傘、一本だね」


「入るか」


それだけ


肩が触れる


心拍数が上がる


「黒瀬くん、歩くの速い」


「……調整する」


小さなことばかりだ


でも、全部が新しい


帰り際、彼女が立ち止まる


「手」


短い言葉


意味を理解するのに、一秒かかった


「……こうか」


そっと、指先が触れる


握らない


離さない


それだけで、十分だった


「ゆっくりでいいって言ったでしょ」


「分かってる」


本当は、急ぎたい


でも、それは言わない


夜、ベッドに横になる


合理的じゃない


効率も悪い


それでも、この不器用な日常を失う方がずっと怖かった。