とある男子高校生の日常

付き合い始めた、という実感はあまりなかった


告白して、気持ちを確かめただけ


それ以上のことは、何も決めていない


翌朝、教室に入ると、彼女がいた


目が合う


……それだけ


挨拶も、笑顔もない


でも、視線は逸らさない


「昨日のこと、覚えてる?」


昼休み、階段の踊り場で言われた


「忘れるわけないだろ」


「だよね」


それだけで、少し安心したように息を吐く


距離感が分からない


隣に立っていいのか、触れていいのか


「黒瀬くん」


「何だ」


「名前で呼んでいい?」


一瞬、思考が止まる


「……好きにしろ」


「じゃあ、こういち」


呼ばれた瞬間、胸が変な音を立てた


「変?」


「……慣れてないだけだ」


彼女は笑う


それが、俺に向けられていると分かる笑い