渡は、美佳と譲とともに黙って待った。
戻ってきた蛙前に、美佳が小声で何かを告げた。
蛙前が退室し、ふすまが再び閉まった途端、美佳が力が抜けたように崩れ落ちた。
「疲れたのは私だが!?」
美佳の唸るような声に、譲が吹き出した。
譲は立ち上がり、美佳の隣に腰を下ろして微笑んだ。
「お疲れさま、姉さん」
「もー、やだー! なんだアイツ! 自分ばっかり可哀想みたいな言い方して!」
美佳が床を拳で叩き、その勢いのまま譲の腰にしがみついた。
強い勢いだったが、譲は笑顔を崩さずに美佳の背をゆっくりさすった。
「そうだねえ」
「ふざけるなよ! 今でさえ影の薄さや雨水への貢献度の低さを妹たちにチクチク言われているのに! 頼んだ仕事の一つもしないで滝草任せのくせに!!」
譲は「そうだねえ」「お疲れさま」「うんうん」と穏やかに微笑みながら、美佳を慰めていた。
渡が少し居心地悪く姿勢を直したところで、ふすまが開いた。
「お呼びでしょうか。……母さん、大丈夫そう?」
顔を出したのは園佳だった。
園佳の顔を見るなり、美佳が怒鳴った。
「だめ!!」
「あらあら。蛙前が張り切ってたから、すぐにお酒が出てくると思うよ」
そう言って笑い、園佳は渡の隣に腰を下ろした。
「お疲れさま。透から聞いたよ。大立ち回りだったんでしょう?」
「そんなかっこいいもんじゃないよ」
渡が苦笑した途端、美佳がギロッと睨んだ。
「そのとおりだ! まったく、ヒヤヒヤさせよって!」
「ご、ごめんなさい……」
「先ほどは佳貴の手前、強くは言わなかったが、お前に言いたいことは山ほどある。そこになおれ!」
「はい、伯母上」
ついに来たかと、渡は居住まいを正した。
ちょうどそのとき、ふすまが開いた。
「奥様。お食事をお持ちしました」
本家の蛙前が笑顔で膳を運んできた。
戻ってきた蛙前に、美佳が小声で何かを告げた。
蛙前が退室し、ふすまが再び閉まった途端、美佳が力が抜けたように崩れ落ちた。
「疲れたのは私だが!?」
美佳の唸るような声に、譲が吹き出した。
譲は立ち上がり、美佳の隣に腰を下ろして微笑んだ。
「お疲れさま、姉さん」
「もー、やだー! なんだアイツ! 自分ばっかり可哀想みたいな言い方して!」
美佳が床を拳で叩き、その勢いのまま譲の腰にしがみついた。
強い勢いだったが、譲は笑顔を崩さずに美佳の背をゆっくりさすった。
「そうだねえ」
「ふざけるなよ! 今でさえ影の薄さや雨水への貢献度の低さを妹たちにチクチク言われているのに! 頼んだ仕事の一つもしないで滝草任せのくせに!!」
譲は「そうだねえ」「お疲れさま」「うんうん」と穏やかに微笑みながら、美佳を慰めていた。
渡が少し居心地悪く姿勢を直したところで、ふすまが開いた。
「お呼びでしょうか。……母さん、大丈夫そう?」
顔を出したのは園佳だった。
園佳の顔を見るなり、美佳が怒鳴った。
「だめ!!」
「あらあら。蛙前が張り切ってたから、すぐにお酒が出てくると思うよ」
そう言って笑い、園佳は渡の隣に腰を下ろした。
「お疲れさま。透から聞いたよ。大立ち回りだったんでしょう?」
「そんなかっこいいもんじゃないよ」
渡が苦笑した途端、美佳がギロッと睨んだ。
「そのとおりだ! まったく、ヒヤヒヤさせよって!」
「ご、ごめんなさい……」
「先ほどは佳貴の手前、強くは言わなかったが、お前に言いたいことは山ほどある。そこになおれ!」
「はい、伯母上」
ついに来たかと、渡は居住まいを正した。
ちょうどそのとき、ふすまが開いた。
「奥様。お食事をお持ちしました」
本家の蛙前が笑顔で膳を運んできた。



