わたしは待っているばかりだったけど、凪はいつも迎えにきてくれた。放課後ふたりでサッカーをしたときも、部活がないときの塾も、会いたいって気まぐれのふりした大学時代も。ずっと、そうだった。
求める答えとは違うところに辿り着くのが怖くて、その意味を深く考えようとしなかった。ただひとりで、ぐるぐるおなじところを回り続けていただけなのかもしれない。
──とっくにきみは、迎えに来てくれていた。
「……ばか、おそいよ」
「ごめん、慎重になりすぎた。だけど、」
いつものグレージュコートが、安心感をくれて。温かで甘っぽい視線がどきどきをくれる。
躊躇うこともなく自分のほうへ引き寄せて、ふわりと抱きしめられた。この温もりが久々に感じられて、じわりと目頭があつくなった。
「花鈴を、絶対に失いたくないから」
「……っ、わたしも、そうだよ……っ」
凪の前でかわいくなんてなれない。だけど、凪を失いたくなくて、凪が好きでたまらなくて、それだけはひとつも嘘がないから。
「好きだよ、花鈴」
「……おそい、おそいよ……っ」
誤魔化しの〝すき〟なんてもう要らない。



