「……なぎのばか……」
小さな声で溢れてしまった声はしっかりばっちり涼名ちゃんに拾われてしまった。
「まって、凪呼び聞いてしまった、しぬ」
「……はやく、会いたい」
……声のトーンとテンションが、多分某芸人が聞いたら高低差ありすぎて耳キーンなる、と言われてしまいそう。
ゆっくりと身体を起こす。意識が現実にしっかり着地していくにつれて、思考も落ちてくる。
今はもう、かなり頭がスッキリしている。なんとなくぼやぼやと靄がかかっていたような頭のなかもクリアで。
それは一度睡眠を取ったからか、さっきの言葉を聞いたから、か。
「今日は帰られます?おうちまで付き添います。てゆか、付き添わないと茅野さんに刺されそう」
表情を緩めた涼名ちゃんが同時に真剣な眼差しで聞いてくれる。相変わらず表情筋は仕事をしていないし早く詳細を聞きたそうだけど、わたしを心配してくれているのは感じ取れた。
涼名ちゃんは凪が推しである以上に、先輩としてわたしのことを好いて慕ってくれていると思う。それが自惚れでないという自信は約半年間で蓄積されてきたものだ。



