ながされて、絆されて、ふりむいて



▫︎◻︎


「……だってさ?お嬢先輩愛されてるな〜」



凪が救護室から出ていったのを確認して、涼名ちゃんがわたしに言葉を投げた。ゆっくり目を開けると「ふふっ、うふふ」と口角が緩みまくった涼名ちゃんが視界に映った。



「……ありえない、ありえないほどにかっこよかった、なんだあれ……」



わたしの記憶は自分の身体に力が入らなくなったところまでだった。そこからどうやってここで横になったのかもわからない状態で。学校の保健室と同じ感覚の簡易なベッドだけど、それほど広くはない一部屋。


状況をあまり把握できていないけれど、確かに涼名ちゃんがめろついている。近くの机に凪が置いていったのであろうコンビニの袋があって、確かに彼の気配が漂っていた。



「私の夢叶った気分です。先輩のすきぴが茅野さんだったなんて、こんな奇跡あっていいんです!?美男美女すぎるし茅野さんからの矢印バカデカなのありがたし、いとありがたし……あまりに私信……」



微睡のなかで、大好きなひとの声がしたから。その声に導かれるように意識を戻した。


保健室みたいな、どこかのベッドで横たわる自分を俯瞰的に認識して、だけどそれがわたしの部屋でも、凪の部屋でもなくて。


そうこうしているうちに大好きな声がわたしの名前を呟くから。



──〝花鈴は〟

──〝ずっと俺の好きな子〟