「わかりました。異性である僕がずっといるのはあまりよくないと思うので帰ります。これは児玉さんの好きなものと、あとは常備薬。泊まるときに必要なものがあれば、僕が彼女の家に──いや、僕のところに置いてあるもの持ってくので教えてください」
袋を近くの机に置いて、背を向けた。今はただ、体調が回復することを祈るしかない。
狭い救護室の中で背中に「茅野さん」と俺を呼ぶ声がぶつかった。振り返ると、まっすぐ俺を見つめる涼名さんの視線に吸い込まれた。
「あの、お嬢先輩とどういう関係で……」
「…………花鈴は、」
きっと、この瞬間までの一番の疑問だろう。聞こえていないとはいえ、本人の前で口にするのはさすがに恥ずかしいし、照れる。
それでもここで誤魔化していては一生本人に伝えられないと思うから。
「ずっと、俺の好きな子」
恋人未満、だけど家族以上で。
俺の人生の中心を可愛く独占していてほしい。
だからはやく、振り向いて。
いつだってきみに振り向いてほしくてたまらないのは、俺のほうだ。



