「今度は強制参加だからな。……とりあえずは、顔色悪いからしっかり休んどけよ」
「……ありがとうございます。今度は行きます、仕方ないので」
「おー。次こそおまえより先に潰れないように頑張るわー」
「それまでに肝臓鍛えといてください」
「生意気だなーくそ」
冗談を混ぜ合わせて、強がるように自分で自分を落ち着かせる。斎藤さんが過ぎ去ってから、もう一度深呼吸をしてぐるぐると回るリセットしようとする。
きっと大丈夫だとわかっているのに、もしも、もしもこのまま花鈴を失ってしまったらと考えたら嫌な汗が背中を通る。そのせいで顔色まで悪く見えるらしい。
花鈴から手を離されても、結局は近くにいたから。このビルの9階で人事部の採用担当として働いていることを確認できていたから。
だから、本当に花鈴が自分のそばから離れるかもしれない状況に陥ると、恐怖に支配されてしまう。



