ながされて、絆されて、ふりむいて



◻︎



──思い返す、高二の夏。


自分のことを好きじゃない女の子に恋をして、身勝手なキスをした。その子のことが今でも頭にあるかと言われたら100%ノーで返すことができる。


俺の頭にも心にもずっと住まうのは、世界でたったひとりの特別な女の子だ。震える手と声で、自分も最低だから大丈夫、だなんて俺を精一杯慰めようとしたいじらしさに乗っかった。


塾の講師と付き合って以来、花鈴は恋人を作ろうとしなかったし、だからと言って恋人ごっこみたいな関係の男だっていなかったはずだ。今でもそうだと断言できる。


君の強がりを利用した。それからはもう、となりにいるのが花鈴じゃないとダメになった。かなり女々しいと自覚がある。女友達にすら嫉妬するようになった。


それでも花鈴を縛り付けているようで、高校の間はほかに恋人を作ったりもしたけど、やっぱり無理だった。


俺と同じ大学を目指すために、過保護で厳しい両親を説得する花鈴が愛おしかった。大学に入学してからはお互いの部屋にずっといるようになって、いよいよ花鈴以外見えなくなった。


はじめに彼女の強がりと嘘に乗っかった責任は必ず取る。……取らせてもらえるなら、今すぐにでも。