柔らかくなった表情が、またすこしキリッとして目つきが鋭くなった。 「はやく、ふりむいてあげなさいよ」 「……ふりむいてもらうのは僕のほうです」 「拗れてるわねえ」 「大人の初恋って、手強いんすよ」 手強くて、うまくいかない。全くもってうまくいかないんだ。花鈴のことになると俺はどう行動したらいいかわからなくなるし、君の表情、ことば、些細な変化も拾おうとして、結局傷つけて。 けど、必要だったのはただひとつ。 ──〝好き〟 ただ、この二文字だけだ。 ▫︎◻︎