ながされて、絆されて、ふりむいて




「花鈴は、無事なんですか」



児玉さん、と変換することすらできなかった。嫌な汗が伝う。スマホを握りしめる手に力が入った。


冷静さが飛んでいってしまいそうで、ぎりぎりのところで捕まえる。平静を保っているふりは、気づかれているだろうか。



『息も普通だしさっきまで意識もあったし、大丈夫だとは思う。今、救護室に運んだところで』


「わかりました。すぐ行きます」



ただの寝不足なのか、ストレスか、それとも重大な病気なのか。俺には何もわからない。花鈴を守るから、支えるからと、あの日俺は児玉教授に約束したんだ。なのに俺は、何をしているんだろう。


行って、何になる。けれど行かない選択肢はない。


そのまま切れた三戸さんとの電話。スマホを耳から離して、ゆっくり息をしながら名波さんへ言葉を紡ぐ。