ながされて、絆されて、ふりむいて



『ようやく繋がったわ。お嬢が残業した日のログ、同じ時間に退勤してたのが茅野だけだったからもしかしてとは思っていたけど……』


「……すみません、話が見えなくて」


『ごめんなさい、こっちの話よ。本題はお嬢の──児玉のことなんだけど』



花鈴のことで、俺に?


花鈴に何かあったのだろうか。心臓が嫌な音を立てる。


三戸さんの言葉を待つしかできない。予想する、なんとなく声のトーンは明るくない。



『児玉の保険証に君の名前と番号が書いてあったからかけたのよ。実は、児玉が倒れて──』


「は、花鈴が……?」



〝何かあれば下の番号まで連絡をお願いします。
 080-XXXX-XXXX 茅野〟



花鈴の保険証には確かに付箋を付けていた。花鈴の意識の外で何か起こったとき、自分に連絡が来るように。


付箋は何度か書いては付け直して、その度に花鈴には「わたしは大丈夫なのになあ」なんて、かわいくふいっとされて。実際、こういう連絡ははじめてだった。