「(……連絡、してみよ)」
メッセージアプリを開いて、グレージュのコートに身を包んだ人物のアイコンをタップする。
わたしが撮った大好きなひと。凪のアイコンを見たら、涼名ちゃんはどう思うだろうか。
このアイコンは、撮影者であるわたしが好きでたまらない、そんな表情をしているのかな。
《凪》
《会いたい》
《金曜、凪のところいくね》
大学に入学して一人暮らしをはじめたタイミングで交換しあった合鍵。許可が必要ないことの証明で、家族と同じくらいの関係だ。
あまりに凪の部屋に入り浸るからか、凪が夜遅くなる日や帰らない日は連絡が入るようになった。そのころにはもう、凪が恋人をつくることはなくなっていた。
昔と変わらず、いやそれ以上の数の女の子が彼に好意を寄せていたはずなのに。
ノートパソコンで確認していた資料に改めて目を通す。時間が余ってしまうと余分なネガティブに支配されてしまうので、涼名ちゃんのお仕事をまるまる引き受けた。
凪に会うって決めた金曜まで、うじうじモードに入らないように。
顔を合わせたら伝えたい。もう我慢もしたくないし、責任も感じたくないから。遠回りして、拗れた糸を元に戻したい。嘘じゃない本心が届きますように。
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