ながされて、絆されて、ふりむいて



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思考回路の真ん中に立ち塞がるのはいつだって茅野凪だ。


見ないふりをしてきたけれど、思い切り目の前で「すき」を伝えたい。捨てようとして奥底に沈めた恋心を拾い上げて、きちんと向き合いたくなった。


今捨てたいのは、あの日の責任と矢野先生との過去だ。



「お嬢先輩、これで以上になります」


「了解です。責任持って引き継ぐから、たのしんでね」


「はぁーい!ストーリー見といてくださ〜い!親しい入れとくんで」



休暇前日の涼名ちゃんはいつにも増してふわふわハッピーオーラを纏っていた。会社の福利厚生として、平日に5日連続で有給を取得できる制度がある。


繁忙期を少しずらした秋に取得する社員が多く、彼女も例に漏れなかった。


彼女がいない間の定例業務や会議の出席などの確認のために設けた引継ぎミーティングを終えて、ひといき。


すでに休暇モードの彼女はここからの仕事なんてやる気はないだろうけど、きっともうあらかた終わらせているのだろう。


普段は推しだなんだと賑やか涼名ちゃんだけど、大学時代から付き合っている彼氏とは超順調なのだそう。別腹みたいなもので、推しと恋人はまったく別なのだという。


沖縄で一泊二日、ちょっと高めのリゾートホテルに泊まるんだって一週間くらい前から幸せそうで、彼女の周りには花びらが舞い散っているようだった(そして浮かれすぎて三戸さんにげんこつされていた)。