「……最低なことした、俺」
「え?」
ぽつりと落ちてきた言葉には、なんの脈絡もなかった。
ひさしぶりに合わせた歩幅はすぐにゼロになって、足が立ち止まる。
「……花鈴はいつもまっすぐで、俺には眩しい」
凪がゆっくりと話すこと、その全ての意味が理解できなかった。見上げた凪の表情が陰っていて、静かで冷たい視線がアスファルトに注がれていた。
それを追っても、交わらなくて、重ならなくて、隣にいるのに遠く感じて。高鳴りは太陽が焼き尽くす。
「……なぎ、何を言ってるの?何かあった?」
「花鈴、俺はあの日から、なにひとつ成長してない」
やっと重なった視線。憂いを帯びて、後悔を滲ませて。マイナスを映した表情、どうしたらプラスに変わるだろうか。
凪の手がわたしの顎のあたりにさらりと触れた。たった今、耳に届いた〝あの日〟を連想させるような近さに身体が動かなくなる。
「このまま、キスした」



