ながされて、絆されて、ふりむいて



「あ、なぎ!おつかれ!」



凪もわたしも毎日が出校日だった。月が一番まんまるく綺麗な時期の学園祭に向けて、準備も夏のおやすみも終盤に突入していた。


いつも通りの帰り道、まだまだオレンジが主張を続ける夏の夕どきに。見つけた。わたしのいちばん星。帰り道、わたしの前を歩く彼に後ろから声をかけた。



「……ん、花鈴」



その日はわかりやすく背中が小さくて、さみしそうに見えた。スタッカートをくっつけた明るい声に反する、フラット装備のいつもより低い声。


歩き慣れたこの道を凪と歩く記憶はそんなに大きくも強くもない。誰とも歩幅を合わせないことが日常になってしまっていた。


だからか、すこしだけ胸の高鳴りが身体を巡った。だけど明らかに様子のおかしい凪への心配が勝る。