ながされて、絆されて、ふりむいて




ぱらぱらと冬の気配が空気を揺らす。去年のおわりに買った茶色のショートブーツで足元にも四季のさいごを散りばめた。


今日はお父さんへのお届けものを頼まれていた。学生の卒論と修論シーズンは大学の研究室に篭りきりになる。


栄養を摂らなくなるから、とお母さん特製の料理と飲み物を届けに行くのはすっかりわたしの役目だ。


きっちり大真面目で、怖いとも言われてしまうお父さんだけど、わたしやお母さんと話すときは表情が綻ぶ可愛いところもあるんだ。わたしと久々に会うとわかりやすく頬をゆるめるから、かなり愛されている自覚がある。



向かう途中でたまたま出会った凪と一緒に行くことになった。確定ではないけれど志望校のひとつだそうで、キャンパスを確認したいのだとか。


わたしは何度かこうして訪れているから慣れていた。国立の総合大学は全国でも有数の生徒数を抱えていて、卒業生は日本にとどまらず海外でも活躍の場を広げている。


昔から自慢だったお父さんが教授として勤める大学はわたしに手が届かないと思っていたけれど、凪からは雲の上の存在ではないみたい。


……なんだか、歳を重ねるにつれ、遠くなっている気がしている。