「……見て、これ。ここ」
「え?」
ボタンを一つ外しただけで誰の目にも触れてしまう赤い痕。どうやったら、どれくらい経ったらなくなるのかもわからない。
「今日、彼氏だったひとと会って……そういう……」
「そういう…………って、」
気がついたみたいで、表情が一瞬歪んだ。つけられてしまった先生の痕から目を逸らされる。
それでもわたしの唇は言葉を紡ぎ続ける。どうしてそんな表情をしたのかわからなかった。
「凪が、その」
「花鈴。わかった、通じたから大丈夫」
「凪が女の子と、」
「……ごめん俺、その話はあんまり聞きたくないかも」
「……っ、聞いてよ!」
自分でも驚いた。なんで大きい声を出しているの。怯んだ凪が言葉を放たないから、わたしが最後まで続けてしまう。
止めてよ、こんなこと、言いたくない。やだ、やだ。
「凪が、女の子としてること!!」
なにをわたしは、ムキになってるの。こんなことをぶつけて、わたしは何を求めてるの。凪のどんな言葉が欲しいの。
…………なんて、わかってる。明確だよ、わたしは、ただ。



