この空間にはいない、彼以外の異性の名前を呼んでしまったのは明らかにわたしの罪だ。
先生は〝凪〟がわたしの大好きな幼なじみであることを知っている。
顔を上げられない、先生の顔を見れない。「おまえさ、」とつめたく感情と色のない声が鼓膜を震わせて、それから。
「泣かれた上に他の男の名前呼ばれるって、俺はなに、なんなの」
瞬間、わたしの視界が反転した。呆れたように面倒を映した先生の表情が飛び込んできて、わたしの身体は床と平行になっていた。つめたいフローリングに背中がぴたりとくっついて、冷や汗が伝う感覚があった。



