凪に彼女が途切れないことなんて知ってる。今までだってずっとわたし以外の誰かと恋をしてきたことなんて、いちばんよく知っている。
──それに、わたしにだって彼氏はいる。
凪の恋人を気にすること自体、おかしい。それにわたしは彼にとって"妹"でしかない。
そんなこと、わかってるよ。
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すこしまえまで夏の温度が残っていたのに、冬を迎えてしまえば一気に白に染まってゆく。ニットやコートを引っ張り出してきて本格的に寒さ対策をし始める季節。
指先が冷えやすいわたしにはカイロが必須だ。「これ着てな」って自分の上着をかけてくれる凪だって、わたしには必要だ。
「花鈴ちゃん」
ふわっと華やぐ声がわたしを呼んで我に返った。置かれたホットココアと同じような温もりを灯した笑みに、わたしの視界が独占される。
「は、はい!なんでしょう??」
「俺以外のこと考えてたかな、って思って」
わたしの顔を覗き込むのは、恋人である矢野先生。一緒に勉強をしよう、と一人暮らしをしている彼の部屋に招かれた。



