――それから、一ヶ月が過ぎた。 季節が一段階進み、夜風が少し冷たくなる頃。 椿は一人で、再びそのビルの前に立っていた。 今回は、誰にも誘われていない。 逃げ場も、言い訳もない。 (……確認しに来ただけ。) 自分にそう言い聞かせ、エレベーターに乗る。