【第一夜】今夜、仮面の下で君を想う





西園寺弥生が黙り込んだまま時間が

流れることは、店の中ではほとんどない。
 


誰かが彼の沈黙に耐えきれず、

言葉を差し込む。
 


あるいは、彼自身が場を回すために、

先に口を開く。
 


だが今は違った。
 


弥生は、

椿の言葉を受け止めたまま、動かない。
 


グラスにも手を伸ばさず、

視線だけをテーブルに落としている。