それでもここに来たのは、 隣で腕を組んでいる友人の強い誘いと ――そして、自分自身の目的があったからだ。 一条椿は、いわゆる「大金持ちの娘」だった。 代々続く資産家の家に生まれ、 何不自由なく育ってきた。 その事実は、限られた人間しか知らない。 大学ではごく普通の学生として振る舞い、 ブランド物も身につけず、家の話もしない。