【第一夜】今夜、仮面の下で君を想う




一条椿は、

グラスの中で揺れる

琥珀色の液体を見つめながら、

静かに思考を巡らせていた。
 


西園寺弥生という男は、

あまりにも“ちょうどいい”。
 


優しすぎない。
 


距離を詰めすぎない。
 


場を支配しないのに、必ず収める。
 


それらは偶然では片づけられない。
 


経験や勘という言葉でも足りない。



(……全部、選んでやってる。)